新聞業界について

○目次

1. はじめに
2. 新聞業界の現状
2.1. 市場規模の縮小
2.2. 電子化の動き
3. 新聞業界の将来性
4. おわりに

 

1.はじめに

新聞はテレビ・ラジオ・雑誌とともにマスコミ四媒体とされる、代表的なマスメディアの一つである。しかし近年、電車や病院の待合室等で見かけるのは、スマートフォンを見つめる人々の姿である。そこにはかつてのように新聞を広げる人々の姿は見られない。テレビ放送やインターネットによってニュースをチェックすることが多くなった現代において、新聞はどのように価値を生み出すことができるのだろうか。

ここでは新聞業界の現状及び将来性について述べる。

 

2.新聞業界の現状

2.1. 市場規模の縮小

新聞業界の市場規模は縮小傾向にある。特に大きな原因としてあげられるのは消費者の「新聞離れ」であろう。日刊紙の発行部数の推移を見ると、2008年度は5,149万部であったが、その後は毎年ほぼ100万部単位で減り続け、2018年度は約3,990万部にまで落ち込んだ。(※1)

かつては消費者が情報を収集する手段と言えば新聞であった。新聞は、取り扱う範囲内で様々な情報を盛り込むことを特徴としており、その対象層の中で広く読まれることや逐次性・速報性が重視されている。しかしメディアが多様化し、テレビ放送やインターネットが発達した現代社会においては、新聞は速報性において優位に立つことができなくなった。消費者はテレビ放送、インターネット、更には自身の持つスマートフォンでも最新の情報を容易に入手できるようになったのだ。その結果、わざわざ購読料を支払ってまで、新聞を購入する人が減少していったといえる。

このようにメディアの多様化によって減少した購読者をどのようにして回復させていくかは、新聞業界全体の大きな課題と言えるだろう。

※1 日本新聞協会調べ

 

2.2. 電子化の動き

IT の発達に伴い、新聞はその伝達手段を広げ、最新の情報をリアルタイムに提供できるメディアへ変化しつつある。現在、大手新聞社を筆頭に各社は様々な電子的な情報配信を行っている。(※2)

  • 電子新聞および有料デジタルサービスを行っている社数 34社
  • ウェブ版を行っている社数 83社
  • SNSサービスを行っている社数 53社

このように新聞の電子化によって、我々は紙のみならず様々な媒体からニュースを得られるようになっているのだ。

電子化が進む背景には、前述にある紙媒体の衰退のみならず、電子化により印刷や流通のコスト削減が可能となり、利益を確保しやすくなるといったこともある。新聞業界の衰退を打開すべく、各社は電子メディアの有料コンテンツに力を入れている。ただし、無料のインターネットニュースと競合するにあたり、料金を支払ってでも電子版の新聞を読みたいと思わせることのできる独自性を発揮することが不可欠であるといえる。とはいえ新聞の電子化は、紙の新聞の処分を面倒に感じたり、移動時にスマートフォンで新聞を手軽に読みたいと考える層からの評価は高いと言えよう。

※2 2018年4月時点、日本新聞協会調べ

 

3.新聞業界の将来性

新聞業界の今後の課題としては、いかにして電子版を普及させるかということが第一に挙げられる。新聞業界は多様なメディアの台頭を受けて全体として衰退しつつある。それを受け、業界全体が乗り上げている電子化への移行。この移行をうまく行えれば、将来的に「紙媒体の新聞」と「電子版の新聞」という二つの切り口から新聞業界は新たな付加価値を生み出すことができるだろう。

また、昨今多くの人がインターネットに目を奪われ、無自覚に情報を受け取ることに慣れきっている。そんな社会状況だからこそ、正しい情報の価値はますます高まっているといえる。インターネットが発達すればするほど、人々の中で「正しい情報」に対するニーズが高まっていく。新聞のビジネスモデルは今後変化を迫られる可能性が高いとはいえ、正確な情報を提供する役割を持った新聞は人々に求め続けられるだろう。

 

4.おわりに

新聞業界は、発行部数が減少を受け衰退傾向にあると言える。しかし、ITの発達に伴い電子化が進むなど、変化の途上にある業界である。今後の業界全体の動向に目が離せない。

 

投稿者:嘉田紗世/京都大学

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