炭といえば備長炭。と私達にとって備長炭は聞き馴染みのある言葉です。しかし、いくつか種類があることをご存知でしたか?和歌山の『紀州備長炭』、高知の『土佐備長炭』、宮崎の『日向備長炭』、中には中国・ラオス・ベトナムなど海外製のものもあります。中でも最高品質として知られる『紀州備長炭』を今回はご紹介します。
世界一高価な木炭?
紀州備長炭は、主に日高川町で生産されたウバメガシを原料に作られる、固くて良質な白炭のことです。和歌山県は日本有数の白炭の生産量を誇っており、年間約1,200トンを生産しています。
世界一と呼ばれる理由は?
*ズバリ…高性能!
- 長持ちしやすい
炭が硬く締まっているため、炎が上がりにくく長時間安定した火力が続きます。 - 強烈な火力
黒灰が炭素およそ75%であるのに対して、備長炭は炭素およそ90%!紀州備長炭はかなり純度が高いことが分かります。機密性が高いため着火後すぐに炭全体が赤くなり大量の赤外線を放ちます。 - 無煙・無臭
備長炭は一度着火してから灰をかけて消化するため、臭くありません。 - 温度が調節しやすい
この点から炭火料理には使い勝手が良く、人気を博しています。
最高品質の理由
*普通の備長炭とは製造方法の手間のかかり方が違う!
備長炭は品質の良いものほど炭の中に空洞がなく硬く締まっています。またそれは職人さんが作っている工程にあります。
*製灰方法
- 山で原木を切り出し
(森林を破壊しないよう必要なものだけ切り出し、山から運び出します) - 木ごしらえ、窯詰め
伐採してきたウバメガシ(原木)はそのままでは使えません。切り目を入れて出来るだけ真っ直ぐにしてから窯に詰めて行きます(立詰め)。 - 口焚き
原木の水分を抜くために窯口で雑木を燃やします。この時点で原木に直接火はつけません。 - 炭化
原木に着火したら窯口を塞いで蒸し焼きにします。1週間ほどかけて水分を飛ばします。煙の臭いと色で窯の中の状態を判断して空気量を調節するため、職人の技が必要です。 - ねらし、消化
窯口を広げ空気の量を増やしていきます。この時の窯の中の温度は1000度以上にもなります。窯から炭を出して“素灰”と言われる灰のような土をかけて消火します。
紀州備長炭独自の製炭技術は大変作るのが難しく手間がかかることが分かりますね。木を丁寧に選び、伐採しているからこそ原木が採りづらく高価なものになっているのです。
広がる炭産業
炭といえば燃料?それだけではないのです。実は意外なものに使われています。
*紀州備長炭の使用例
- インテリアのオブジェ
- 保湿クリーム
- フェイスパック
- 生け花
- 備長炭入り焼き菓子
- バスタオル
私たちの知らないところで意外にも工芸品や生活雑貨にも使われているのですね。
価格
種類によって様々ですが、国産と外国産のものでは1万円以上差があるものもあります。
市場規模
アメリカ、オーストラリア、カナダ、デンマーク、ノルウェー、香港などに輸出拡大しています。
終わりに
生活の隅々に備長炭。紀州備長炭は今ビジネスとして再生しています。備長炭を知らなかった人にも技術と品質の良さを分かってもらえたでしょうか?
これからも発展する炭産業に目が離せないですね。
投稿者:同志社大学:藤井 真鈴