この企画は日本で働く経営者や官僚、知識人など様々な方々にブラザーナイトの学生がインタビューをし、多くの学生にその仕事について詳しく知ってもらい、社会人としての一歩目を思いっきり踏み出してもらおうという企画です。
今回のゲスト、前 警察庁長官：金髙雅仁 様
PROFILE｜プロフィール
東京大学経済学部卒業。1978年 – 警察庁 入庁 1995年 – 警視庁刑事部捜査第二課長 1998年 – 富山県警察本部本部長 2009年 – 警察庁刑事局長 2011年 – 警察庁長官官房長 2013年 – 警察庁次長 2015年 – 警察庁長官 2016年 – 警察庁顧問 2016年 – 警察共済組合 理事長 NPO法人情熱の赤いバラ協会 常任講師 ブラザーナイト 初期提唱者
― どうして警察庁を目指したのですか、それは何時からですか？
警察庁に入ろうと思ったのは大学4年の就職活動の時、もともと公の仕事に付きたいとは思っていたのですが、公務員になるために公務員試験を受けてその後、各省庁を訪ねて回る機会があるんです。その時いくつか回った中で警察庁が一番面白そうだった、人の命や正義をすごく大事にしなくてはいけない役所だと思うのと、普通役所に入ると30年ぐらい霞が関に勤務しなくてはいけないのですが、警察の場合、現場の勤務がすごく多い、どちらかというと現場のほうが面白いかなと思ったので警察に決めました。
― ちなみにそのときに既に長官になりたいと思っていましたか？
思っていないです。
皆さんも同じだと思うんですが、長官って仕事がなにか、その時は知らないんですね、特別に長官になりたいとかは思ってなかったです。
― 今、学生に戻ったとしたら何がしたいですか？
私、学生時代にこれを一生懸命した！ていうことが無いんです、4年間ずっとじゃないのですが、水泳部に所属してたこともあるし、ボランティアで高校生の留学の世話もしたこともあるんですが、これだ！ということ、物事に没頭したということが無いんです。そう言いう意味ではちょっと悔いが残る学生生活でしたね。もちろん授業も大事ですが、寝食を忘れて没頭するような事がある学生生活って羨ましいと思います。
― 警察庁長官時代の年収って教えてもらえますでしょうか？
内緒にしたいけど、隠しても意味がないというか、法律とか、政令で決まっているんです。警察庁長官の年収は2,000万円強くらいです。これは各省庁の事務次官と同じ金額です。どんなに働いでもそれ以上は増えないんです（笑
― ちなみに退職金は・・・・
これも決まっていて、トップクラスの役人が不祥事で辞めていくときによく報道されていますけど・・これも5,000万円強くらいで、きっちり決められているんです。
― 警察庁長官の一日のスケジュールを教えてもらえますでしょうか？
役所はが始まるのは朝9時半くらいからでその時間だと出遅れるので9時位までには出勤して、前日のメールだとか新聞の朝刊をチェックして、それからは長官室に人がどんどんやってきます。相談や決済など、役所の中で長官の許可がないといけない案件が結構たくさんあって、その書類の決済などで午前中はスケジュールがいっぱいになる、庁内の幹部を集めて会議や、庁外、官邸で会議をするなどで一日が終わる感じです。しかし時々現場に行かなければ色々わからないので、例えば大きな事件があったらそこに出掛けて行ったり、それから私が長官のときに伊勢志摩サミットがありました。その時は現場のことがわからないと、大きな警備計画が作れないので、伊勢志摩サミットが決定して直ぐに行って、どんなところかを見て、各局の意見を聞いて決めていく、そういう意味では色んな所に行きました。
私は1年7ヶ月長官をやりましたけど、その期間内で30件くらい現場に行っていますね。
― 警察庁長官になるにはどうすれば良いと思われますか？
わからないですね（笑
目標が具体的になにかあったわけでは無いですけど、与えられた仕事に対して「誰よりも優れた仕事をしよう」と思って仕事をしていると、それを組織が見ていて「もっと責任のある仕事（ポスト）に就かせよう」言われてそのポストに就いていくそういうことではないかなと思います。
長官になる為（だけ）に努力したと言うことはないです。
どこかの担当になったとして、その事だけ考えると、狭くなる、警察全体としてどうすればいいか、どのポストについても常にその事を考えて行動していました。
学生の皆さんも、いずれ就職して、自分の担当業務はプロになるのは当たり前として、それを含めた会社なり、組織全体の将来をいつもも考えて仕事をした方がいいと思います。
