VIPインタビュー【 元 農林水産省事務次官 小林芳雄 様 ② 】

この企画は日本で働く経営者や官僚、知識人など様々な方々にブラザーナイトの学生がインタビューをし、多くの学生にその仕事について詳しく知ってもらい、社会人としての一歩目を思いっきり踏み出してもらおうという企画です。

今回のゲスト、元 農林水産省 事務次官 小林 芳雄 様

PROFILE|プロフィール
1949年長野県に生まれ、専業農家で育つ。1973年東京大学法学部卒業後、農林省へ入省。各部局を経て2006年農林水産事務次官。2007年退職。2008年から株式会社 農林中金総合研究所顧問。2010年から内閣官房参与。現 農林水産技術会議 会長 NPO法人情熱の赤いバラ協会 常任講師、ブラザーナイト 初期提唱者

― たくさんの知識を得ていかないと仕事は成り立たないと思うのですが、知識はどのようにして身につけられたのですか?

若い頃からのだんだんの蓄積が一つあります、基本的に、学生の時の知識としては、法律体験とか、割とあの1番基礎的なところですよね。
ただ、実際の場面になると基礎的ではあるけれども実際の応用となると全く違う世界になるので、基礎とはいえ、やっぱり新しい実際のものを経済実態だとか、社会の風を見ながらだとか、いろんな反応をして行く、それってやっぱりもう常日頃の積み重ねだから、だんだん仕事をして行くうちに備わってくるっていうこと思います。
それに加えて特に、特定の専門的な分野で、自分がもっと進歩して行きたいとすれば、やはりそれに対して独自の勉強をしている人もいるでしょうしね。
自分はその仕事の分野に集中して、そこにもっと積極的に取り組んで行きたいことがあれば、その段階で知識とか情報を集めてますね。日頃からいろんなところから情報を得るのと、専門的には独自で情報を集めてます。実際問題、仕事の現場に行くと忙しいんですよ。
忙しいっても仕事やサービスするの中でも、生活とかいろんな案件あるでしょ、そうすると本当に自分の限られた時間の中でどれだけ勉強の時間だとか、あるいは遊びの時間だとかは、難しい面がある。時間が限られていますしね。
その中で、どう言う風に情報を得るかは、やり方というか集め方は一つのスキルみたいなものを身につけて行くのもこれから大事なことですよね。

人それぞれだと思うんでが、私の場合はいろんな部署で仕事してますので、追求すると言うか、特定のところに、グーっと集中するタイプではなくて 割と幅広くいろんなことの情報に関心持ってる、そう言うタイプだったと思うんです。
人それぞれではありますから自分がどういうスキルとか、やり方に向いてるとか、或いは自分が好きなのは何か、ていうのを見ながら判断していければいいんじゃないかと思います。
先輩のやり方を見ながら、とりあえず自分はどんなやり方いいのかっていうのを考えて行くといいと思うんですけど・・・

― 学生に向けて農林水産省の魅力をおしえてください。

農林水産省はまず、役所ですから公共セクターなんですよね。国全体だとか地域全体だとかで物事を見て行くということになります。

そういう幅の広さですとか、それを判断して行く上で、いろんな経済の実態、国際的な動きとか、いろんな情報なり、動きなりを把握しながら、それを評価し、分析して、その上にいろんな方向を考えて行く、公務っていうのはダイナミズムっていうんですかね、それがベースになっていると思うんですよ。そういう意味でも大変ですけれども、一種の面白さはあるのかなっていうことがひとつですね。

その中で農林水産省の仕事は言葉の通り、農業、林業、水産業といわゆる第一次産業を扱っていて、それに類なる業務ですね、例えば農業で言うと生産性の向上だとか、あるいは後継者、農業をこれから担って行く若い人たちを含めた人の育成など、いろんな課題があるんですけれども、一方で食料という風に、捉えますと、国際的な食の事情、いま我々は食料という意味では非常に潤沢で、豊富で、いろんな食材があって非常にいろいろ食べられるんですけども、これが、将来どうなって行くかという、そう言った考え方で見なくてはいけませんし、もちろん食の安全性という、そう言った問題も出てきます、非常にこれも幅が広い課題を抱えているということ。

特に農村地域っていう課題がありまして、いま我々日本社会はこれから高齢化に加えて少子化で人口減少して行くという長期の課題がありますけども。特に農業農村地域、中山間と言いますが、普通の都市部と違ったいろんな問題があります。そう言った地域をどういう風に支えて行くのが農業の一つのコアになります。

農業という作業計画と同時にその地域のどういう風に支えて行くんだと言ったいろんなアプローチも必要なんですね、そういう意味ではおそらくみなさんが農林水産省ってパッと受けるイメージと比べると範囲が広いし、重層的な仕事をしていると思います。そう言った意味に見ていただくと、いろんな面で農業生産っていう立場だけではなくて食品の流通確保とか、あるいは環境だとか、あるいは消費者から見てそう言った立場で、問題を捉えるという、そう言った仕事が特徴的ですね。

― 実際に仕事をしていて成功した体験談だとか、または失敗してしまったな という事があればおしえてください

失敗か成功かということはなかなか難しくて、失敗とか成功というのは個人が判断することではなく、おそらく周辺の皆さんが判断することなので、ストレートにいい答えができるかわからないですけど、ただ私の反省点て言いますか、非常に仕事の対象範囲が広いということで、地域だとか、個々の食生活とかを我々は「現場」っていう言い方をするんですけれども、そういうところに密接した仕事・行政っていうのがあるんです。


例えば、農業問題で、次の若い時代って、農業を背負って行ってもらう皆さんを、どうやって農業に目をかけてもらって、どのように農業に参入してもらうか。そんな風な話になると地域地域でどういう農業が行われているのかと、どういうところに皆さんが、魅力を感じて、自分の生活の支えとしてやっていけるかっていう、そう言ったところが重要になると思うんですね。

実際にその各地でやっている農業の「現場」とか実際の状況を見ないとなかなかどうすればいいのかと言う話の組み立てが難しいいのと、それから日本ってのは非常に、南北に長くて、気候にしろ、生産条件にしろ、ものすごく差があるんですよ。


色々な多様性があると、ますますそう言った多様な状況を頭に入れていかなくてはいけない、それが基本という面があります。そういう意味では出来るだけ「現場」に足を運んで、現場の皆さんと、いろんな議論をしたり、知識を一緒に増やして行くっていうのが一つのポイントなんですね。私の30数年働いた中では、あまりそういうチャンスに恵まれなかった、とういうのも我々のキャリアパスの中で例えば地方、都道府県に行って仕事をするとですね。

もちろん、海外に行くというこう仕事ありますし、色んなところに赴任したり、あるいは出張したりという形で、その課題に応えて行くという、そういうチャンスがあまりなかった、それが具体的に失敗をしたかというと必ずしもそうではないんですけれども、もっとそういうチャンスがあれば、いろんな人たちと、議論できただろうとそういう思いありますね。

だから学生の皆さんもこれから色んなところでお仕事して行くんでしょうけども、色んな考え持った人、色んな条件の中にどんな形で世の中を動いているのかっていうのはやはり現場目線で色々吸収して行くというそれは大事なんじゃないかっていう感じしますけどね。

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