日本刀の魅力

近年、日本刀ブームが大々的に巻き起こっている。2018年には京都国立博物館において「特別展  京のかたな」が開催され、約20万人が訪れたことからわかるように、日本刀に対する需要が高まってきているのだ。

今回は、日本刀の歴史について述べていきたい。日本刀の成り立ちを知る事でその魅力に迫っていこうと思うのである。

トピック

日本刀創世紀
様々な発展
・.戦争と刀
終わりに

日本刀創世紀

実は日本では古墳時代から鉄製の刀剣が製作されていたが、それは、今「刀剣」と言われて想像されるものとは少し違った所謂「直刀」であった。この形から考えるに斬る、よりも刺すに近い使い方をしたのではないだろうか。

さて、彎曲した「刀剣」が登場したのは奈良時代末期から平安時代中期にかけてである。どの様にして日本独自の形が形成されていったかは不明瞭ではあるが、奥州に住んでいた蝦夷の人々の技術の影響を受け、刀に反りが生まれたと考えられている。

所謂「日本刀」の元となるものがここで誕生したのだ。

様々な発展

時代は移り、平安時代後期。武家勢力が拡大するにつれて刀剣の需要は高まっていった。特に、馬に乗りながら戦うことができる様に刃が反りの下についている太刀が主流となった。この辺りから「日本刀」の概念が確立してくる。

また、鎌倉時代になると、後鳥羽上皇により「御番鍛冶」衆が形成され、積極的に刀が作られるようになった。その中には各地の有力な刀工衆が含まれていたために日本刀製作の黄金期を迎えたのである。

鎌倉時代は戦乱の時代であったために、刀剣に武器としての能力が求められるようになった。そのため平安時代後期は日本刀の優美さを表すような形の繊細な日本刀が作られてきたが、この時代はもっと実践的な、豪壮な造りをするようになり、時代が進むにつれてその研究や試行錯誤が繰り返されますます刀剣は実用性を持つものとなっていった。

そして、室町時代前期は輸出のために優美な太刀が作られるが、戦国時代になると太刀からより長さの短い日本刀である打刀、脇差の二本差しが主流になる。

また、この頃にはたたら製鉄の技術が発展を遂げ、大規模な製鉄所が各所に見られるようになり、戦のために農民へと大量に「お貸し刀」なるものが与えられるようになった。

最後に、江戸時代における日本刀について述べる。刀剣史において、慶長以前に製作されたされた刀を「古刀」それ以降に製作された刀を「新刀」と呼ぶ。従来の古刀に比べ新刀は、流通が安定した時代に製作されたため全国的にその製作材料が同じようなものとなって、地方色がなくなっていったのである。

元禄期になると新刀は保守的な武士が退廃的だという考えを持たれ忌避されていった。そうして新たな刀剣の需要は減り、刀を作る者自体も減っていった。代わりに、刀の鍔や装飾類への需要が高まり、刀装具の繁栄が起きたのである。

江戸時代末期にも「新々刀」なるものが作られたが、明治時代を迎えると「廃刀令」により軍人や警官以外は刀を佩刀することができなくなってしまった。こうして、日本刀は衰退していったのである。

戦争と刀

時代が変わり、軍隊が結成されるようになるとそれぞれに「軍刀」と言われる官給品が与えられた。だが、その扱いは兵器ではなくあくまで軍服と同じ軍装品であった。

また、第二次世界大戦後には連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)により大規模な刀狩が行われ、これまでに製作されてきた歴史ある刀剣が大量に廃棄されてしまった。一時は日本刀自体の存続が危うくなったが、日本政府の必死の抗議により、登録制による日本刀所有が可能となったのである。

こうして、日本刀は現在まで生き延びてきたのだ。

終わりに

日本刀はその時代のニーズに応えてその使用目的の変化を遂げつつ現代まで存在し続けてきた。ここまでは日本刀の歴史の概要を述べてきたが、さらに詳しく調べるとなるとそこには沢山のドラマが待ち受けているだろう。それが日本刀の魅力の1つである。この記事がその魅力を発見する事のきっかけになれば幸いである。

宮野詩織投稿者:同志社大学:宮野 詩織

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